先日、ドイツ・ドレスデンのエーリヒ・ケストナー博物館を訪れた。娘がケストナーの愛読者であるからだ。そこの係の人から、日本人の来訪者がとても多い、なぜ日本人はこうもケストナーを愛してくれるのか質問された。ドイツでより多くの人に呼んでもらえるヒントを探しているようだった。
よく分からなかったが、”小学校の課題図書とか推薦図書になっていて、子どもたちは良く読むのですよ”と答えた。
ドイツ語研究も義理の父にも聞いてみたところ、以下のような回答が返ってきた。
“明治以降の日本とドイツは関りが深かったので、日本ではドイツ文学の研究者も多く、翻訳も多く出ていたこと、ケストナーは特に子供向けの作品が多く、学校の推薦図書になるなど、子供の頃から親しみがあったことなどが原因として考えられます。”
続けて、私が思ったのは、戦後平和憲法を定めた日本では平和教育が重要視されていたので、自由主義、反ファシズムを貫き、反戦を謳った「動物会議」などを残したケストナーの作品は、教育現場のニーズにもマッチしたのだと思う。
今回のロシアによるウクライナへの侵攻直後にも、Twitterでも動物会議を絡めたて、為政者による暴力、戦争に反対するコメントも見受けられた。
私が考えるケストナーが日本で非常に愛されている理由は以下の3つ。
・明治以降、日本はドイツから多くのことをキャッチアップする仕組みがあった。
・ケストナーは児童文学作品も多く、日本の多くの学校の課題図書となることで、多くの子どもたちに愛された。
・平和教育に、自由主義、反ファシズムを貫いたケストナーのメッセージがマッチした。
せっかくなので、博物館の人に連絡して、リアクションを待ってみたい。
ドイツ児童文学については、こちらのサイトも面白かったので、おススメです。http://www.newsdigest.de/newsde/features/9562-kinderliteratur/